- 見積もりに必要な情報とは?
- シールの基本構造(剥離紙+糊付の紙)
- インクの特性 透過性あり、なし
- 糊殺しシールと部分糊シールの違い
- シールの仕上げ方法の種類
- オフ輪転印刷機と凸輪転印刷機の4色カラーシール印刷の違い
- 納期について
見積もりに必要な情報とは?
具体的には紙代、刷版代、刃型代、印刷工賃、梱包代、送料の合計値がシール印刷にかかる見積もり金額となります。
よって、次の6項目の情報から算出します。
1.使用する紙の種類 2.色数 3.サイズ 4.必要枚数 5.加工・オプションの有無 6.印刷機の種類
もちろん2、3、4のおおよその情報と使用用途だけでもわかれば弊社から最適な紙、加工、印刷機をご提案いたします。
さらに詳細な御見積書をお作りする場合、下記の内容から御見積書を構成しています。
●納品期日:事前に納期をお聞きしている場合は何月何日(AMまたは時間指定等)、未定の場合はデザインが決まってデータ取得後営業日で何日後に納品、と表記します。
●納品場所:都内一箇所、全国10箇所など
●有効期間:当該見積り書の有効期間のことです。
●取引方法:末日締め翌月末日払いなどの掛売りか先振り込みか、など記載します。
●品名:ご発注者と弊社で共通の認識ができる品名にします。梱包後に中身が分かるように極力品名そのままを発送伝票に記載します。
●部数:基本的には個数で表記します。1シートに5枚ついたシールを100シート作成の場合は500と表記します。
●金額:税別で表記します。単価も少数点第2位まで表記します。
●備考:部数の補足説明(シート数、組数など)や複数の原紙のお見積りの際に原紙名を表記します。
●原紙名:使用するタック素材の名称・厚み・糊の種類・セパレーターの色などを表記します。
●サイズ:mm(ミリメートル)単位で表記します。
●色数:墨1c、特2c、4cカラー、白+4cカラー、のように使用する色の数を表記します。
●仕上げ方法:2×5 10面シートカット仕上げ(1シートに10枚シールつき)とか、断裁裏スリット1本(指定サイズに四方をカット、セパレーターに切り込みを入れる)のように表記します。
●データ有無:データはご支給か、弊社で作成かを表記します。
●梱包:一箱1000枚、100枚で帯などご指定の梱包方法があれば表記します。
●送料:ご納品に際して発生する送料を記載します。
シール素材に関しては原紙の種類だけでも多種ありますがそこに糊の種類が加わり、さらに印刷方法、加工の方法も何種類もあるため印刷のことをよく知らないお客様にも分かりやすいお見積り書を作成します。
シール印刷のお見積もりはこちらからシールの基本構造(剥離紙+糊付の紙)
こちらのイラスト図はタック紙の断面イメージです。
一番上の原紙(白部分)の下に糊(グレー部分)がついており、その下にセパレーター(黄部分)という構造です。
セパレーター表面にはシリコーン処理が施されているため、どんな糊でも剥がれます。
それではこちらの画像をご覧ください。
黄色の部分がセパレーターで原紙は和紙強粘タック、グレーと黒の2色で印刷したものです。
印刷前の状態は全面に和紙タックが無地である状態ですが、シール印刷機にセットした後、まず2色の印刷をし、その後刃型で半抜き加工、最後にカス取り(刃型より外側の不要部分をめくって取り除く)をすると画像の状態の製品になります。
特に半抜き加工の部分がシール専用印刷機と工員ならではの技術と言える部分で、上記イメージ図の糊(グレー部分)とセパレーター(黄部分)のちょうど境に数十ミクロンの世界で刃を入れなければなりません。ちょっとでも狂うと不良品となってしまいます。
また、印刷機を稼動させている工場内の温度や湿度、印刷機自体の稼動熱を原因とした糊質の変化に合わせて抜き圧を調整したり、刃に付着した糊カスの除去といった細かな管理がとても重要となります。
インクの特性 透過性あり・なし
印刷インキの特性についてご説明します。
インクには4色で構成されるプロセスインキCMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、クロ)と特色インキがあります。
特色インキはDICやPANTONEなどの番号付けされた各カラーのインキを使用して印刷します。
これらのインクには透過性がある色、透過性のない(透けにくい)色があるのをご存知でしょうか?
簡単にご説明すると、大多数の色は透過性があり、透過性のない色は白と黒と金・銀などの特色、の3種類のみです。
この透過性があるかないかによって私たちはこの絵柄をこの用紙に印刷する場合は仕上がりの色はこうなる、と予測して色調整をします。
たとえば白地の上質タック紙と色上質タックのキイロの2種類の用紙に同じ青色を印刷すると白地のほうは普通に青に見えますが、黄色地のほうは青インクに透過性があるため、黄色と青を混ぜた色=緑に見えます。
また、こちらの画像のように白地のタック紙(左)に赤色を印刷するとそのまま赤色ですが、同じ赤インクで銀色のタック紙(右)に印刷すると赤は赤ですがメタリックレッドのような風合いになります。
これは赤インクに透過性があることによるもので、メタリックレッドにしたくない場合は、赤インクの下に白インクを印刷しておきます。
こちらの画像は右が銀消タック、左が銀艶タックです。同じメタリックレッドでも明るさや見え方が少々異なります。
最後に、同じ白地のタック紙でも上質タックの白、アートタックの白、アート訂正タックの白はまったく同じ白ではないので、これら3種の用紙に同じインクを使用して印刷しても厳密には同じ赤にはならないとも言えます。
こちらの画像は左がアートタック、右がアート訂正タックです。
アート訂正タックは紙自体の白が少し暗いため赤色も同様になります。
糊殺しシールと部分糊シールの違い
『糊殺しシール』と『部分糊シール』の違いについてご紹介します。
一般的な全面糊のシール・ラベルに対して、これらは糊面の一部に糊がないものを指し、店頭のシャンプーやコンディショナー、化粧品などの販売促進ツールとして使用されます。
お客様にとって馴染みのある呼称は『アテンションシール』、『注意喚起シール』『POPシール』などでしょうか。
この糊殺しシール、部分糊シールは結局は同じ『一部の糊が無いシール』を指しますが、その製造方法の違いで呼び分けています。
また、どちらもロール巻き原紙の輪転印刷機によって作成することができます。
こちらの図をご覧下さい。
まず白無地のシール原紙のロール巻きを印刷機にセットし、印刷→抜き→カスとり(ここでは円形の外側の不要部分)の順で製品を仕上げていきます。
2種の違いをそれぞれまとめますと
部分糊シール:原紙ロール自体をメーカーへ特注する
メーカーは黒の矢印の方向に水平に同じ幅で糊引きをしていきます。
つまりメーカーに対して私共は『ここからここの幅は糊を無くして糊引きしてください』と発注するわけです。
あとは仕入れた部分糊の原紙ロールを印刷、抜き、カスとりを行って部分糊シールが完成します。
部分糊シールはそれほどコストアップにならない反面、特注の原反を製造するため納期のご相談が必要になります。(仕入に1週間~2週間かかり、それから印刷工程に入るため)また、糊無し部は糊引きのローラーがたどらない部分の直線でしか作成できません。
糊殺しシール:糊を無くしたい部分を『糊を殺す印刷』によって作成する
普通の全面糊のロール原反を仕入れ、おもて面の印刷の他に、糊面の不要な糊部を殺す印刷をします。(糊を殺す成分を含む透明なインクを印刷するイメージです。)
つまりはシールの両面を印刷することに近いです。
よって糊殺し用の版を作りますので、どういう形状に糊を殺すか(逆に糊を残すか)自由に設定することができます。
ただし工程数と版の数が増える分、製作コストは上がります。
では、もう少し分かりやすく違いをご説明します。
上記の丸型Aシールを剥離紙からはがし、糊面を可視化したイメージ図がこちらです。
左の下端部分のみ糊を残し、それ以外は糊無しというシールは部分糊でも糊殺しでも製作できます。
納期まで十分な日数があるとして、同じ枚数を作るとしたら部分糊シールのほうがお安くなるはずです。
右の星型に糊があるシールは部分糊では作成できません。
糊殺し印刷によって作成します。糊を殺す部分を印刷するわけですから、星の形をくりぬいた版で円内の白い部分を印刷します。
シールの仕上げ方法の種類
シールの仕上げ方法はどの印刷機で印刷するかにより下記の4種類に大別されます。
最も代表的な仕上げ方法がこちらのイラストのような『シートカット仕上げ』で、1枚のシート(セパレーター)に複数枚のシールがついています。イラストではシール5枚で1シートになっていますが、一枚ごとにシートカットすることもできます。
シールの刃型外側の不要な部分(カス)が取り除かれていることにより、シールが剥がしやすくなっており、平圧印刷機、凸輪印刷機、オフ輪印刷機などのロール巻き原紙から印刷する機械で製造します。
シール自体をまとめたい場合や、商品に手作業でシールを貼る場合にはシートカット仕上げが最適です。
続いてこちらは『ロール巻き仕上げ』のイラストです。
シートカット仕上げのようにシールとシールの間をカットすることなく連続で巻き取ったもので、対応できる印刷機も同様です。
ロール巻き仕上げのシールを自動貼り機にセットして使用される場合は、紙管のサイズや表巻きか裏巻きか、絵柄の向き、ロールの最大直径などの確認が必要です。
次に、こちらはオフセット印刷機、シルク印刷機などの平版印刷機での仕上げ方法である『断裁ウラスリ1本』と『全抜きウラスリ1本』です。
シールの形状が四角の場合は断裁、そうでない場合は刃型を作成して全抜き、ということになります。
ウラスリ1本とはセパレーターに切り込みを入れてシールを剥がしやすくする目的の仕様で、ウラスリの本数は複数本にすることもできます。
ノベルティグッズとして配布したり、単体で販売される場合に適しています。
最後に、こちらは『断裁半抜き』のイラストです。
四角に断裁されたシールの内側に1丁~複数丁の半抜き(セパレーター手前までのカット)を施す仕様で、対応できる印刷機は同様にオフセット印刷機やシルク印刷機です。
ノベルティグッズとして配る場合等に便利です。
オフ輪転印刷機と凸輪転印刷機の4色カラーシール印刷の違い
仕上がりがA5サイズ以下の小さいサイズ、かつ4色カラーの絵柄の場合、弊社ではオフ輪転シール印刷機(以下、オフ輪)もしくは凸輪転シール印刷機(以下、凸輪)のどちらかの印刷機をお客様に確認をしていただく必要があります。
印刷の質はオフ輪>凸輪、コストパフォーマンスは凸輪>オフ輪 と言えます。
オフ輪は一般的に言われるオフセット方式の印刷方法なので、印刷表現の指数である『線数』は175線となります。
線数が多いほど高精細に表現できますが凸輪は130~150線程度、となります。
ただし、この線数によるクオリティの差が出るのは印刷する絵柄に写真やグラデーションがある場合に明確になるため、それ以外の絵柄であれば凸輪でも同様に綺麗に印刷できますし、お見積り金額も安くなります。
人物や風景などの写真、薄くて微妙なグラデーションが広範囲にある絵柄についてはオフ輪をおすすめしますが、どちらが良いか迷われる場合は印刷予定の絵柄を事前にお見せいただければ凸輪でも見劣りなく印刷可能かどうかご提案いたします。
納期について
お客様とお見積り書等でお約束した納期は必ず守ります。
一般的には下記スケジュールとなりますが、最短の納期となるように個別に調整は可能です。
具体例として、
月曜日に新規の商品シールを2色刷りで50000枚ご発注いただいた場合。
まず月曜から火曜にかけての間に版下データに不備がないかのチェックと必要な原紙を紙メーカーから仕入れ、同時に刷版と刃型を作成しておきます。
水曜から木曜にかけては印刷および抜き加工、ラミネート貼りなどの加工を施します。
金曜日は最終日で、色や加工などの最終仕上がりチェック、数量のチェックと梱包し、発送作業となります。
つまり、月曜日にご注文いただいたシール製品は金曜日に発送という流れになります。
大ロットのご注文、内職が必要な場合、納品先が多数の場合、箔押しや部分糊、糊殺し、ポッティングなどの特殊加工がある場合は納期日数が追加となる場合がありますので事前にご連絡いたします。