お見積りにおいて重要なのが、いかに質の高いシールを安い価格で作成するかということになります。
ホクトエスピーのシール印刷において、少しでもお安くする方法をまとめましたので、ご参考ください。
使用する紙や糊などでお安く印刷する方法
こちらは弊社の社名ロゴシールですが、具体的な例として、
『自社のロゴシールを安い価格で印刷するとしたら』というテーマでご説明します。
まずはシール印刷のお見積もりに欠かせない『原紙』の選別についてです。
原紙には大別して『紙素材』と『フィルム素材』の2種ありますが、総じて紙素材のほうが安くなります。
価格が高いフィルム素材は当然ながら耐久性・耐水性・耐油性といった面で紙素材より優れています。
紙素材の代表的なものは6つで、安い素材から順に、上質、アートまたはミラコート、マットコート、金銀ホイル、和紙となります。
フィルム素材の代表的なものは5つで、安い素材から順に、ユポ、透明PET、白エンビ、金銀PET(ネーマ)、白PETとなります。
今回弊社が選ぶのは『アート』です。
上質は一番安いのですが、印刷色の青が少し沈んで暗くなるので、少々光沢があって発色のよいアートタックが最良となりました。
強い光沢のミラコートはアートと同額の素材ですが、印刷して1年後くらいからうっすらと黄変色が進みますので、2~3年分を一度に作るつもりの今回は選びませんでした。
次は『糊』についてです。
アートの中で最も安い糊は普通糊で、強粘、強粘再剥離、超強粘、弱粘再剥離の順に高くなります。
今回のロゴシールは封筒や冊子などの紙媒体に貼って使用する予定です。
最も安価な普通糊を選びます。
貼る相手が紙素材なら普通糊でもしっかり貼れるためです。
シール印刷をコストダウンさせる方法
続いて、原紙と糊以外でシール印刷を安くする方法をご紹介していきます。
まずは『サイズ』について考えていきます。
やはり面積は小さいほうがお安くなりますし、今回のロゴシールは様々な大きさの封筒や冊子に貼って使おうと考えているので一番小さなものに貼っても、はみださないサイズを測ってみます。
ちょうどよさそうなサイズは縦20.5mm×横61mmでした。
それじゃあこのサイズの型を作成しましょう・・・
と、ここでちょっと待ってください。
型代は最低1500円~費用が発生します。
サイズが大きくなればなるほど高くなります。
20mm×60mmのキリのよい数字のサイズならもしかすると・・・調べたら型在庫があったのでこれが使える!・・ということは型代無料にできました。
シール印刷における型とは?
もともとのシール原紙の構造は、黄色や水色の剥離紙(セパレーター)の上に、同じ大きさの糊付の紙が貼り合せてある二層構造となっています。
よって紙の表面に印刷した後、四隅を断裁しただけのものでは、使用する(シールを剥離紙からはがす)時にとても剥がしにくくなるので非効率となります。
そこで、シールを剥がしやすくするために『半抜き』の状態にして仕上げたり、剥離紙のほうにスリット(切り込み)を入れた仕様にしたりもします。
この『半抜き』の仕様とするために不可欠なのが『刃型(抜き型)』となります。
続いては『色数』について。
下記のシール印刷のうち、どれが一番お安く済むでしょうか?
A:青1色
B:黒1色
C:2色
答えはAとBです。
弊社では金・銀などの特色をのぞき、1色の印刷であれば黒でも青でも同額で印刷いたします。
Cは2色なので版代が1色の倍となり、工賃も単価が上がります。
続いて、シールを印刷する『枚数』はやはり少ないほどお安くなります。
ですが、たとえば20mm×60mmの場合、2000枚と2500枚で総額が変わりません。
これは原紙の仕入最低ロットと工賃に関係する計算で割り出しますが、つまりは同じ金額で製作可能な最大枚数=『効率ロット』が2500枚なので、今回はこの枚数を作成することにします。
効率ロットの計算は少々お時間をいただく場合もございますが、効率ロットをお知りになりたい場合はお気軽にお尋ねいただければと思います。
最後にどの『印刷機』で製作するか?です。
基本工賃が安価な順に、平圧、凸輪、オフ輪、オフセット平版、シルクの選択肢があります。
また『印刷』ではなく『データ出力』という意味でのプリンター黒印字、カラーオンデマンドがあります。
この中で自社のロゴシールはズバリ、平圧印刷機で印刷します。
今回のロゴ絵柄の印刷においては凸輪、オフ輪などの上位機に比べても遜色ない仕上がりのシールが最も安価に作成できます。
そしてこちらが、実際に印刷されたシールとなります。
ちなみに、金額が高くなるケースもございまして『加工、オプション』を付加した場合、金額が高くなります。
よって、この加工・オプションの種類が少ないほどお安くすることができます。
今回のロゴシールは『安さ』に重点を置いたため、表面へのPPラミネートや型を変型にするなどの加工はしませんでした。
見積り金額を安くする具体的な方法
上記の具体例をまとめると下記のようになります。
【①+②+③+④+⑤=お見積り金額】となりますので、各パーツの仕様をコストパフォーマンスの高いものにできれば、お安く価値のあるシールを作成することができます。
- ①原紙とサイズ
- どの素材のタック紙、および糊を使用するかということと、面積が小さいほうが安くなります。また、キリの良い数字のサイズは型代が無料になる可能性があります。
- ②印刷色の数
- 色数が少ないほうが安くなります。 作成する刷版の数と印刷工賃に影響します。
- ③枚数
- 必ずしもそうではありませんが、概ね少ないほうが安くなります。必要な紙代と印刷工賃に影響します。
- ④加工、オプションの有無
- 表面ラミネートやハーフラミ、糊殺し、筋押し、箔押し、裏スリットの本数、耐光インキの使用、本紙校正、内職などのオプションは 別途費用が発生いたします。
- ⑤印刷機
- 平圧、凸輪、オフ輪、オフセット、オンデマンド、シルクなど印刷する機械によって同じものを刷る場合でも総額が変わります。
たとえ1色でもデザイン性が高い、もしくは目的が明瞭な絵柄で、必要部数と絵柄に合った最適な印刷機を選定することによって、安く価値のあるシール印刷が実現できます。